「安心・安全」とは…?

相談室のカウンセラーやワークショップのファシリテーターにとって、「安心・安全」に配慮するとは、どういうことでしょうか。参加者やクライエントが全く傷つかないような場をつくることでしょうか。
カウンセリングやワークショップの場を、私は常々「悩みを解消する場」ではなく、「正しく悩む場」であると捉えています。言葉を換えれば、痛みに直面することを避けたり頭の中で堂々巡りしたりするのではなく、自分自身と正面から向きあう場です。もちろん、心の傷に絆創膏を貼る応急処置的なカウンセリングが必要な時もあるでしょう。一方、本質的な変容を求める場合は、正面から自分と向き合うことが欠かせません。それは、出会いたくないイヤな自分と出会ったり、心の奥に押し込んで鍵をかけておいた感情が吹き出したり、すでに解決たことにしていた心の傷と再会したりするものです。相談室は痛みを感じずにすむ場ではなく、安全に安心してその痛みの体験にひたれる場であることが大事だと思います。
カウンセリングやワークショップを初めて体験する人は、安心・安全といった概念を意識していないかもしれません。ところが、カウンセリングなど心のことを学んだ人々は、それが大事なことだと知っています。なので自分がクライエントや参加者になった時に、ファシリテーターや他の参加者に傷つけられると、そのことに過剰に反応してクレームをつけたりすることがあります。
でも私は、「それって、ちょっと違うんじゃないの?」と思います。本当に実力のある〝心の専門家〟になりたい人は、傷ついたことに腹をたてるのではなく、傷ついた自分に気づいたなら、その体験の中で自分に何が起きたのかを振り返り、そのプロセスと向き合うことで自分を改めて見つめ、自己理解をより深めることが大切だと思うのです。
相談室やワークショップでは、カウンセラーやファシリテーターとして傷つくようなことも少なくありません。自己効力感がぶっ飛ばされるような瞬間にも出会うものです。ですから、自分がどんな関わりで傷つきやすいかに気づき、知っておくことは大切です。傷つくのは自分の問題であることを知っていれば、被害者意識に苛まれたり、クライエントなど他者を無駄に責めることは無くなります。同時に、自分の感覚をセンサーとして「自分が傷つきを感じている。ということは、クライエントの私への関わりは…」と、クライエントの人間関係パターンや心のクセに気づく能力も磨かれます。
参加するワークショップや勉強会で起きることの全てを自分の成長の糧にする気持ちが、自分を「本物」に育ててくれるのだと思います。

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